【Vol.2】木のぬくもりから、手のひらへ 東直子さんとつくる、一位一刀彫のかたち

岐阜県高山市で、一位一刀彫の技術を受け継ぎながら作品を彫り続ける木彫作家・東直子さん。
無着色、そして刃の跡をあえて残したまま仕上げるその技は、見る人の心に、静かな強さとぬくもりを届けてくれます。
そんな東さんに、今回わたしたちは贅沢にも一位一刀彫で原型制作をお願いしました。
かたちだけでなく、その内側にある「ものづくりの姿勢」ごと託すような、贅沢なお願いです。
目次
一位の木に魅せられて
「私は、一位の木が好きなんです。」
そう語る東さんがこだわるのは、素材そのものの美しさ。
一位(イチイ)の木は、成長がゆっくりで年輪が緻密。
赤みと白みのバランスが木ごとに異なり、その濃淡が作品の中に自然なかたちで現れます。

着色はせず、ノミの刃跡も磨きすぎない。
耳や尾、輪郭の一部にだけにじむような色の変化も、まるで計算されたような味わい。
「そういう違いが見えるから、一位の木は本当に面白い。
小さい作品でも、その魅力をちゃんと感じてもらえるように彫っています。」
静かな作業場で、木と向き合う時間
東さんの作業場は、庭の緑が見え、小鳥のさえずりが響く場所。
音楽は流さず、道具と木と、自分の呼吸だけに集中するそうです。

「彫ってる時間がいちばん好き。
なにか大きな目標があるわけじゃないけれど、この時間があることが本当に幸せなんです。」
子どもの頃、父と山に登って植物の名前を教えてもらった記憶が、今もモチーフ選びの原点になっています。
伝統にしばられず、自分らしい表現を
東さんがこの世界に入った当時は、職人は男性ばかりだったといいます。
30代の頃、全国の女性工芸作家たちと出会い、「自分らしく作っていいんだ」と思えたことが、今のスタイルに大きく影響しています。
「どんなものを彫ったら、女性に“かわいい”って思ってもらえるかな?って考えるのが楽しいんです。」
やさしくて、繊細で、あたたかいもの。
そうありたいと思いながら、今日も一彫り一彫りを積み重ねています。

まだ知られていない、この技術を未来へ
一位一刀彫という技術は、100年以上の歴史がある伝統工芸です。
ですが、実際にその名前を知っている人は、決して多くはありません。
「飛騨高山では大切にされている技術だけど、全国的にはまだまだ知られていないと思います。
だから今回のクラウドファンディングで、少しでも多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。」
刃の跡に宿るリズム、木の色の揺らぎ、やさしい輪郭。
それは、写真だけでは伝えきれない“空気をまとったかたち”です。

木彫の記憶を、陶磁器のなかに
今回の作品は、東さんの原型をもとに、瀬戸焼の技術によって陶磁器として仕上げられます。
素材は変わっても、東さんの手が生み出した造形は、そのまま受け継がれています。
刃跡を残した面の揺らぎや、静かにこちらを見つめるような表情。
そこには確かに、木を彫る時間のぬくもりが刻まれています。
贅沢なことに、この原型は一位一刀彫で彫られたもの。
だからこそ、仕上がった陶磁器の中にも、木彫の静かな温度が息づいているように感じられるのです。

ダルマ原型に込めた想い
東さんが手がけた今回のダルマは、伝統的な丸みを持ちながらも、表面には一位一刀彫ならではの「削り跡」をあえて残した仕上げが施されています。
一面ごとに光の当たり方が変わり、角度を変えて眺めるたびに陰影が揺らぎます。
まるでポリゴンのように多角的なフォルムでありながら、木彫のやさしさが滲む造形。
そのニュアンスが瀬戸焼に受け継がれることで、陶磁器でありながらどこか木彫の温かみを感じられるダルマとなりました。

未来の誰かに、届きますように
東さんが、これまで大切に彫り続けてきたもの。
それは、かたちだけではなく、“手でつくる時間の豊かさ”かもしれません。
そんな作品が、あなたの手のひらにも、そっと届きますように。
Jeramic DARUMA
モダンなデザインでインテリアにも馴染む、陶磁器の置物「Jeramic DARUMA」(ジェラミックだるま)。
首元には12種類の天然石がきらりと輝く特別なだるまです。
ガラスのようにつるりとしたなめらかな肌と、現代のライフスタイルに溶け込むシンプルなデザインは、手のひらサイズでどんな場所にも溶け込みます。

















